介護施設が守らなくてはいけないのは、利用者さんだけではありません。そこで働いてくれている介護職の生活や人権も守ってあげる必要があります。

介護施設が介護職に法令遵守を促すのも、介護施設だけでなく介護職自身も守るためです。介護職が法令を知らずに行ってしまった事について、場合によっては介護職自身が罪に問われることもあり得えます。

刑事事件となってしまう可能性が高いのは、利用者さんへの虐待です。虐待とは、肉体的・心理的・社会的な傷を負わせてしまう事です。本人は自覚がなくても、家族が起訴する場合もあります。この時の論点は、「意図的に虐待をしていたか」という点です。

介護施設における虐待に関する法令は「高齢者虐待防止法」に基づき判断されます。有罪と認められると1年以下の懲役、100万円以下の罰金が課せられます。つまり、どんな状況であっても虐待とみなされた場合は、刑事・民事いずれかの裁判になってしまうのです。

もちろん、個人としての罰のみではなく、介護施設にも捜査が完了するまでは活動停止、または免許取り消しの罰があります。介護施設としての罰は段階があります。また定期審査が行われるので、設立して1年と6年目の前後には、実地指導が入ります。

そのため、万が一介護職が法令違反を起こしていたと気づいた場合は、まず速やかに報告相談をおこなうのが先決です。人間関係や目に見えない罪の大きさは時間が経つにつれ確実に大きくなります。早期に対策してこれ以上罪を大きくしないことが重要です。